愛知県あま市 甚目寺
整形外科・リウマチ科・外科・リハビリテーション科
医療法人もりや整形外科

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もりや整形外科

医院からのお知らせ

腰の手術は怖い?2017年07月12日

病院に勤めていて手術が毎日の仕事だった頃、腰の手術を勧めると「車椅子になりませんか」とか「寝たきりになりませんか」という質問を時々受けたものです。「車椅子になった方を見たことがありますか」と聞いてみると見たことがある人は一人もいません。最近はその質問は少なくなりましたが今やその話は都市伝説になったかと思います。確かに脊椎の手術は難しいものですが技術レベルが上がり、手術を担当する医師の手術が脊椎の専門病院に限定される様になるとともに事故も少なくなっています。なくなったとは言えませんがよほどのアクシデントでなければ術後が術前より悪化することはありません。患者さんは手術で悪くなったら困りますが医者も手術の後が悪くなってはたまりませんので十分な知識と経験の上に準備をして手術に望みます。「手術をしましょう」と勧める以上は80%から90%のよくなる見込みがなければ勧められません。腰や頚に限らず手術の安全性は一昔前に比べて飛躍的に高くなっています。勧められたらよくなると思って下さい。(費用と入院期間も気になりますが費用については高額医療制度になりますので上限は決まっています。詳しくは執刀医にお尋ね下さい。)

当院の関節リウマチ診療と病診連携2017年05月12日

最近の10年でリウマチの治療は目を見張るような進歩があり。以前のような指が曲がって車椅子に乗っている暗いイメージはすっかり変わって来ました。MTXの処方と生物製剤の普及でリウマチはあっても仕事が継続できる人が増えリウマチは決して治らない病気では無いと思えるようになっています。市内では専門のクリニックも見られるようになってきましたがまだ大勢の患者さんが集まる大病院では長時間待って数分の診療という状況は変わっておらず望ましいとは言えません。関節リウマチも病診連携が進み、普段は近隣のかかりつけ医師が診て、必要時は入院手術を病院にお願いするというスタイルができれば理想です。

関節リウマチは発症率の高い病気ではありませんが、もりや整形外科を引き継いで2年が経過し、少しずつ来ていただいて数が増えてきています。豊橋医療センター勤務時代に200人のリウマチ患者さんを診ていました。新たに生物製剤を導入し、当時最先端の治療を行っていました。西部医療センター勤務時代は整形外科の前任に専門医がおらず膠原病内科がありましたので私のリウマチ患者さんはかつてほど多くはありませんでしたが充分な診療をしていたと思っております。この30年のキャリアを近隣の患者さんにも評価していただきたいと思っています。

医者というものは自分がライフワークとして勉強してきた病気の患者さんには特別の思い入れがあるものです。関節リウマチは薬がよくなりほとんどが通院外来治療で間に合うようになってきています。自分でできる事はしっかり診て入院が必要なときには早めに紹介をするようにしています。安心して当院に受診していただきたいと思います。

骨粗鬆症と骨折2017年04月08日

日本は高齢化社会が進み特に女性の平均寿命が伸びたことから、骨粗鬆症の治療は非常に重要な課題になってきました。昔のように背中の曲がったおばあさんを見ることはすっかり減ってきましたがこれも生活環境の改善と栄養/医療の改善による成果といえます。毎日診察をしていても骨折の患者さんが減っていることを感じます。
骨粗鬆症自体はほとんど症状がありませんが転倒した時や重い物を持った時等に骨折を起こすことが問題なのです。気がつかない間に骨折を起こしていることもあります。
大腿骨頚部骨折は入院手術が必要になります。脊椎圧迫骨折は長期間の不自由を我慢しなければなりませんし、更に悪化した場合脊髄神経根を圧迫してひどい腰下肢痛や下肢の麻痺が出てくることがあります。骨が弱くなるだけですが結果的には悲惨な状態を招くことになります。
検査器械の普及とその精度の進化は治療の必要性と治療の効果を解り易くしてくれるようになりました。腰椎と大腿骨で測る骨密度はかなり正確に骨の状態を反映しています。
骨粗鬆症の薬が多様化し症状や患者さんの状態に合わせて選べるようになってきたこともうれしいことです。効果のある薬を使うと背中の痛みが消え患者さんの表情も明るくなってきます。骨粗鬆症の治療/予防は大切なのです。

腰痛 頚部痛の検査と治療2017年03月08日

早いものでもりや整形外科を引き継いで3年めになります。以前は名古屋市西部医療センターに勤務していましたので最先端の検査機器を使い疑問があれば迷わずに検査ができていました.仕事の中心が入院と手術でしたのでそれは必要不可欠な事でした。が、小さな診療所で働き始めるとやはり勝手が違います。しかし気をつけて診察し、レントゲン1枚でも丁寧に読んでゆくとCTやMRIがなくても病気の原因はわかるものです。腰痛や頚部の痛みでも症状でほとんど原因が推測できますし、手術が必要なほどの症状でなければMRIを撮ってみてもその後の治療内容が変わるわけではありません。必要なときはあま市民病院その他の所へお願いしていますがすぐに撮ってくれますので不自由を感じずに診療をさせていただいています。高額の医療器械を抱えると患者さんに負担をかける事になりかねません。検査が少し物足りないと思われても私の知識と経験を信頼していただきたいと思っています。
どこに受診しても治療は薬と注射・リハビリテーション・手術の3つの中から選択することになります。
手術は必要に応じてその手術ができる医療機関へ紹介することになります。
痛みの治療薬は最近種類が増えてきていますので専門医とそうでないところではかなり内容が違うかもしれません。
注射の選択ですが鎮痛剤の点滴・痛みのある所への局所注射の他に神経ブロックという方法があります。仙骨ブロック/硬膜外ブロック/神経根ブロックと言う3つの方法があり痛みの強さや状態によって方法を決めていますがどれも内服/局所注射よりは有効な方法です。痛みが強い時大きな病院へ受診される方も見えますが大病院でも救急でできるのはその中でも簡単な仙骨ブロックまでです。当院では硬膜外ブロック・神経根ブロックも適宜行っております。
痛みの強いとき是非一度当院にご相談下さい。

普通のプラスチックギプスとソフトギプス2017年02月02日

ギプスというと年配の方は硬い石膏を思われるかもしれませんが、現在はプラスチックギプスという硬いが石膏のように重くないギプスが主流となっています。そして今はギプスなのに柔らかいというソフトギプスというものがあります。もう20数年前になりますが埼玉にある国立リハビリテーションセンターで義肢装具判定の研修会に行ったとき講義の中でソフトギプスの存在と使い方を教わり、その後ソフトギプスを活用してきました。今まで一緒に働いた先生方でも知らない方が多かったのであまり普及はしていないのかもしれません。弾力性があるためギプスの縁で褥瘡を作ることがなく装着感は普通のハードギプスと比べるとずっと快適です。ハサミで切ることができるのでギプスカッターを使う必要がなく子供にも恐怖心を与えることなく使えます。総てのケースで使えるわけではありませんが特に子供や装着感が問題になる部位での使用は積極的に使用するようにしています。

手首の骨折の治療について2017年01月24日

骨粗鬆症の治療が普及し、栄養状態の改善あるいは生活環境の改善のため減ってきてはいますが、転倒して手首の骨折で受診される患者さんは少なくありません。元々骨が弱くなっているため骨がつぶれていて麻酔を掛けて引っ張って整復してもギプスの中で転位を起こして曲がってしまうことがあります。紹介して手術を行い金属のプレートとネジで固定するのが今の治療の主流ですが高齢の患者さんが入院して手術を行うのは本人にとっても家族にとっても大変なことです。

入院せずに小さな診療所でも何とかできないものかと考え昔やっていた方法で何人かトライしてみました。
麻酔をかけて骨折を真っ直ぐに治しキルシュナー鋼線という細い釘で皮膚の上から切らずに骨折を固定します。レントゲンのテレビ画面を見ながらの操作ですので充分きれいに骨折は治ります。固定力が弱いのでギプスは必要ですが入院する必要は無く局所麻酔を注射してから30分程度で終わりますので手間も費用もかからずよい方法だと思います。
私たちが整形外科医になった頃は皆さんこの方法で治療していました。経験は無駄にならないものだと思っています。